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図1.1.4−3 (磯崎一郎、波浪概論、(財)日本気象協会より)

 

SEASATに搭載されたSARの場合には進行方向、距離方向とも解像度は約25mであるから原理的にはこれにより波長70m〜80m以上の波浪の画像を得ることが出来る。しかし受信信号から映像を作り出すまでに多大の計算時間を必要とするので、実際に波浪の映像を得た例はあまり多くないと言われている。(1)

 

? 短波海洋レーダー

短波海洋レーダー(10)−(16)(HF Ocean Radar、HF Radar、HF Ground Wave Radar等)と呼称される沿岸の海流(海流の測定には2箇所のレーダーサイトが必要)や海洋波浪を観測するシステムがある。これは、1955年Nature誌(No.175)に発表されたCrombieの論文を契機とするものである。1970年代にヨーロッパと北米で開発・実験が始まり、NOAAのBarrick等により研究された。日本では郵政省の通信総合研究所等が研究・開発(11)−(13)に取り組んでいる。

現在、CODAR System Inc.(米国)、Marex Technology Ltd.(英国)、Northern Radar Ltd.(カナダ)等で商用機が開発されている。日本でも商用化の動きが見られる。これらはいずれも地表波を用いたレーダーである。

 

注:CODAR:Coastal Ocean Dynamics Applications Radar

 

短波海洋レーダーはHF帯電波の垂直偏波を使用する。地表波として伝播する電波の一部は海面で後方散乱されレーダーに戻ってくる。電波の後方散乱で、電波の1/2波長に相当する波浪の波長による後方散乱波の位相が揃うため後方散乱波は強められる。これを結晶格子によるX線の散乱になぞらえてBragg散乱(一次散乱)と言う。

 

 

 

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